新しい道徳 「いいことをすると気持ちがいい」のはなぜか 北野武

どうして人を殺してはいけないか?

学生の頃に友人と

「人はどうして人を殺してはいけないか?」
というテーマで何時間も話したことを思い出した。
それにはルールがあって、あくまで合理的に説明しなければならない。
つまり「人としていけないなことだから」みたいな説明ではダメなのである。
その結果、わたしたちが導き出した答えはこうである。
 
人は大昔から集団で生きることで、他の野生動物から身を守ってきた。
おそらく猿もそうだ。
そこで同族殺しを認めると集団が維持できなくなる。
そうなると結局自分自身が生きていけなくなってしまう。
つまり、人殺しは自分を苦しめることになる。
 
これを基準にして倫理や法律が作られ、わたしたちはそれを深いレベルまで刷り込まれているにすぎない。本の中に同じようなことが書かれていてなんだか嬉しかった。
 
ここで言っておきたいのだけれど、わたしは別に「殺人がダメなことが本当にわからない」わけではない。
でも、世の中にはそれがわからない人もたぶんだけど、いる。
先日、犬を金属バットで殴って捕まったというニュースがあった。犯人の人は「どうして犬を金属バットで殴ってはいけないか」がわからない人なのに違いない。
その人に向かってどうしてダメなのかを論理的に説明するのは結構難しい。
 
この本も似たような考え方で書かれている。
 
途中、北野武世代のノスタルジーが出てきて、そこには少し食傷したけれど、わたしのような人間は非常にスッキリした。